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イッセー尾形を観て思ったこと

イッセー尾形さんの一人舞台を観てきました!
20数年前「イッセー尾形の都市生活カタログ」と言うビデオシリーズを観て以来ずっと観たかった舞台をやっと観ることが出来ました。


本当に素晴らしい、最高の舞台でした。


「自転車に乗れないおばさん」

「50年間町工場で働いているおじさん」

「リゾートホテルで働くダメな感じのボーイ」

「ダンスバーでバーテン相手に絡む女性」

「会社の部下を引き連れヨットに乗った小金持ち」

「天草四郎を語る香具師」

「人生に疲れた感じの女性歌手」

を一人で演じました。
それぞれ20分ほどのネタでキャラクターに扮装するために衣装・メイク・カツラなどを舞台の上で毎回変えますが、その様子も全て見せてくれます。このスタイルは20数年前のビデオと同じでした。
形態模写でありパントマイム的な細やかなディテールの表現はさすがの一言です。もう笑いっぱなしなんですが、笑いはあくまで上品で柔らかく、どこかに哀愁や懐かしさを感じ、時には社会や権力に対してのパラドックス(逆説)だったりアイロニー(皮肉)的なニュアンスも感じられます。

舞台を観ながらこんなことを感じていました。

「観れたことに感謝せないかんね。こうして感動することで思いを強く持つこと、持ち続けることの大切さを改めて心に刻み込まないかん」

と。



私は10代半ばで上京し、アパートの電気やガスを止められてもライブチケットを買い、ご飯を抜いてでも情報誌「ピア」を買って映画、演劇、舞台、音楽、を鑑賞に行く日々を過ごしていました。自分を形成するために自分の知らない価値観や世界観を広げてくれる芸術や文化を貪欲に求めていました。あの頃の情熱が今も小さな灯として私の中に残っていたので昨日観に行ったのだと思います。


イッセー尾形さん、ありがとうございました!
また必ず観に行きます!







本日のBGMはこれ!

「Tom Waits」




10代の頃、風呂もガスコンロも家具も布団も電話も洗濯機も冷蔵庫もテレビもない渋谷のボロアパートの中で、このレコードを聴きながらこれからの自分の生き方を毎晩考えてました。友人や彼女の家に泊まりに行くときもこのレコードを持って行ったこともあります。
もちろん今も頻繁に聴いてます。

好きという気持ちを強く持つこと、持ち続けること。
今の時代に必要だと思います。
by unsane001jp | 2011-09-05 02:24 | コラム